「入園までに、これができるようにならないとダメかな?」
入園前になると、トイレや着替え、給食など、子どもの身の回りのことが気になりますよね。
私は幼稚園教諭として、たくさんの子どもたちと関わってきました。
そんな私が入園前の保護者の方に伝えたいのは、
「全部完璧にできる必要はない。でも、できることは家庭で経験しておいてほしい」
ということです。
「まだできなくても大丈夫ですよ」と言われると、親としては少し安心しますよね。
もちろん、本当に大丈夫なこともたくさんあります。
でも、幼稚園の先生は、一人の子どもだけをずっと見ているわけではありません。
例えば25人のクラスで、一人の子の着替えを最初から最後まで手伝っている間、残りの24人は待つことになります。
先生が「ちょっと待ってね」と声をかけながら、子ども自身に頑張ってもらう場面も少なくありません。
だからこそ、入園後に子ども自身が困ったり、寂しい思いをしたりすることを少しでも減らすために、家庭で経験できることは少しずつ経験しておくことをおすすめします。
今回は、幼稚園教諭として、そして一人の子どもの親として感じていることをまとめます。
①着替えは「全部一人で」ではなく、まず自分でやってみる
ボタンや裏返しなど、難しいことはまだできなくても大丈夫。
ただ、最初から「できないから全部やってあげる」のではなく、
「まず自分でやってみようか」
という経験をしておくことは大切です。
幼稚園では、着替えの時間に一人ひとりに付きっきりになることは難しいです。
25人のクラスなら、一人の着替えをずっと手伝っている間、ほかの子どもたちは待つことになります。
そのため、
「ちょっと待ってね」
「まず自分でやってみよう」
と声をかけることも多くあります。
もちろん先生も意地悪で待たせているわけではありません。
でも、子どもにとって「ちょっと待ってね」が続くのは、不安だったり、寂しかったりすることもあると思います。
だからこそ、家で着替えるときに、時間が許すなら少し見守ってあげる。
「自分でやってみる→難しいところだけ手伝ってもらう」
という経験を重ねておくと、園生活でも自信につながります。
②トイレは「行きたい」を伝える練習を
トイレが完璧に自立していなくても、園の対応はさまざまです。
ただ、
「トイレに行きたい」
「おしっこが出そう」
「うんちが出た」
など、自分の状態を先生に伝える経験は、できる範囲でしておきたいところです。
そして、できればもう一歩。
トイレットペーパーを使う、拭いてみる、流す、手を洗う
など、自分でできるところは少しずつ経験しておくと安心です。
我が家でも、娘が幼稚園に入ったとき、うんちの後に自分で拭くことがまだできませんでした。
娘は「うんちが出たら先生に伝える」ということはできていたので、先生に「うんちしてきます」と伝えてトイレに行ったそうです。
でも、出た後になかなか先生に来てもらえず、悲しい思いをしたことがありました。
それ以来、娘は幼稚園でうんちをすることができなくなりました。
親としては、もちろん悔しい気持ちもありました。
でも、幼稚園教諭として働いている私は、先生側の事情も分かります。
クラスには娘だけではなく、たくさんの子どもがいます。
「もっと自分で拭けるように教えておけばよかった」
あのとき私は、親としてそう後悔しました。
だからこそ、これから入園するお子さんには、園で困ったときに少しでも自分でできることを増やしておくことをおすすめしたいと思っています。
③靴の脱ぎ履きを自分でやってみる
登園・降園だけでなく、園生活では靴を脱いだり履いたりする機会がたくさんあります。
最初から左右を完璧に合わせられなくても大丈夫。
まずは、
「自分で脱いでみる」
「自分で履いてみる」
という経験をしておきましょう。
時間がないとつい大人がやってしまいますが、家でも時間に余裕があるときは、できるだけ見守ってあげるのがおすすめです。
④自分の荷物を自分で扱う
「これはママが持つもの」ではなく、
「これは自分のもの」
という感覚を少しずつ持てると、園生活がスムーズになります。
かばんを置く、帽子を片付ける、持ち物を出すなど、園で行うことに近い動作を家でも経験しておくといいですね。
⑤困ったときに先生に伝える
これは身の回りのことと同じくらい大切です。
「トイレに行きたい」
「痛い」
「困った」
「できない」
「手伝ってほしい」
など、自分の気持ちや困っていることを大人に伝える経験をしておきましょう。
全部きれいな言葉で言えなくても大丈夫です。
まずは、困ったときに黙って我慢するのではなく、大人に伝えていいんだと知っていることが大切です。
⑥食事は「食べること」だけでなく、自分でやってみる
好き嫌いをなくして、何でも食べられるようにしなければいけない、ということではありません。
食べる量には個人差があります。
ただ、スプーンや箸を使う、こぼしたら自分で拭いてみる、食器を片付けるなど、できることは少しずつ経験しておくと安心です。
園によって給食のルールは違うので、入園前に確認しておきましょう。
⑦「自分でやってみよう」とする経験を増やす
最後は、特定の何かができるようになることよりも、
「自分でやってみよう」
という経験を増やしておくこと。
時間がかかるから、失敗すると大変だからと、つい大人が全部やってあげたくなることもありますよね。
でも、家では大人が待ってあげられる時間があります。
その時間を使って、少しずつ「自分でできた!」を増やしてあげてください。
入園前にできると安心!チェックリスト
全部できなくても大丈夫。
「まだできていないな」と思ったものは、入園までに少しずつ経験してみましょう。
身の回りのこと
□ 着替えを自分でやってみる
□ 難しいところを「手伝って」と伝える
□ 靴を脱ぎ履きする
□ 自分の荷物を持つ・片付ける
□ 手洗いをする
トイレ
□ トイレに行きたいことを伝える
□ 一人でトイレに行ってみる
□ トイレットペーパーを使ってみる
□ 自分で拭いてみる
□ 流す・手を洗う
食事
□ スプーンや箸を使って食べる
□ 自分で食べられるものを増やす
□ 食べ終わった後の片付けをする
先生との関わり
□ 困ったことを大人に伝える
□ 「手伝って」と言える
□ 自分の名前を言える
□ 返事をする
「できない=ダメ」ではない
ここまで読んで、
「うちの子、全然できてない……」
と不安になった方もいるかもしれません。
でも、できないことがあるからダメということではありません。
子どもの成長には、それぞれのペースがあります。
ただ、「大丈夫」と言われたから何もしなくていいわけでもありません。
幼稚園では、一人ひとりに寄り添いたいと思っていても、クラスにはたくさんの子どもたちがいます。
だからこそ、家庭でできる範囲で「自分でやってみる」経験を増やしておくことは、子ども自身を助けることにつながります。
入園前に目指したいのは、何でも一人で完璧にできる子ではなく、困ったときに自分でやってみたり、先生に助けを求めたりできる子なのかもしれません。
焦らず、でも少しずつ。
親子で「できた!」を増やしながら、入園の日を迎えられたらいいですね。

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